腐女子を狙う”ファッションホモ”という言葉について

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腐女子を狙う「ファッションホモ」が増殖 危険な手口とは

こんな記事を見かけました。インターネット上では、元々別の意味で使われていた言葉が突然新たな意味を付与されて、むしろそちらの意味の方で広まってしまう、ということがよくあります。今回の「ファッションホモ」もその一例ですね。対義語はガチホモになるのでしょうか。いずれにしても、あまり広まってほしくない言葉です。

それと、

SNSで「腐男子」や「ゲイ」を自称して近づき

とあるのですが、腐男子とゲイは全く別物ですので、ここで並べて突っ込んでしまうと色々とまずい気はします。「腐男子」はあくまで趣味の話で、「ゲイ」はセクシャリティの問題ですから。「腐男子」を自称して腐女子に近づくのは、犬好きを自称して愛犬家に近づくのとなんら変わりありません。

今回ここで問題にするのは「ゲイ」を自称して近づく人たちの方です。

出現の背景を考える

そもそも、どうしてこんな言葉が出現したのか少し考えてみました。

実は、腐女子を相手に「オレも腐男子なんだよね」とか「俺、ゲイだから」とナンパする人、というのは以前から池袋やコミケ会場などで一定数存在すると言われていました。また、腐女子ではなくコスプレイヤーを「即ヤれる」として紹介して叩かれていた雑誌もありました。そもそも「ヤれる女特集」を堂々と組んで出版できてしまう辺り凄いなと思うのですが。

「自称腐男子」はともかく、ゲイを自称して腐女子に近づこうとする男の人達の側からすれば、こんな思惑があるのだと思います。

腐女子はゲイが好きだから釣れそう
腐女子は男性経験が少ないためヘテロ男性相手だとガードがきつくなるが、相手がゲイだとそれがなくなるだろう

実際、「自分は性的対象に見られていないから大丈夫だろう」とゲイを自称する男性を家にあげたら襲われた、という話が上のサイトにも載っています。

①も②もとんでもなく失礼な話なのですが、こうした考え方が生まれてしまった背景には腐女子による二次元の(腐女子文化の中で口にされる)「ホモ」と、三次元の「ゲイ」の混同があると思うのです。

腐女子側の問題

ソースがまとめサイトで申し訳ないのですが、こんなものを見つけました。

腐女子の妄想ツイートワロタwwwwww

「腐女子はゲイのよき理解者である」といった旨のツイートが並んでいます。中にはそうした風潮を揶揄するツイートが文脈から切り取られてしまったように見受けられるものもありますが、こういった主張は別段珍しいものでもなく、寧ろ最近よく見かけるなあと思います。

また、街中で見かけたゲイカップルの様子を「萌える」話題として提供するツイートも(あくまでネタなのか、本当にいたのかは別として)よく見かけますよね。

他人を性的に消費することを悪いと思わない、むしろ相手もそれを喜んでいるはずだ、という風潮が、男性にしろ女性にしろ顕著になってきているのかもしれません。この辺りは「腐女子の(名誉)男性化」にも絡んでいるように思われます。

男性的な感覚を持っている、あるいは男性と価値観を共有しているということを誇らしげに自称する風潮それ自体、どこで発生してなぜ広まったのか考えたら底は尽きなさそうなのですが。

少なくとも、実在する誰かを性的に消費することは、確実に相手を傷つけ、貶める行為です。

「ファッションホモ」という言葉について

「ファッションホモ」という言葉はそもそも差別用語を含んでいますし、誰にとっても気持ちのよい言葉ではありません。そもそも異性へ接近するための道具として同性愛者を自称する、という行為そのもの自体が、何重にも、様々な人の気持を踏みにじることになります。

気をつけなければならないのは、彼らは「偽物のゲイ」ではなく「同性愛者を自称する異性愛者の悪人」であるということです。偽物のゲイと本物のゲイがいる、という理解は、誰にとっても不幸の種になります。

というか身も蓋もない話をすると、そういった集まりでもない場所で「君腐女子なの? 俺ゲイなんだよね、仲良くしよ」という人は、実際の性的指向に関わらず、とりあえず変な人なので余り関わらない方が良いと思います。

異性愛者に悪い人がいるように、同性愛者にも悪い人がいるのですから、仮に相手が本当に同性愛者だったとしても無条件で安心しないほうが良いと思うよ、というお話です。

だって、みんな等しく人間なのですから。同性愛者を特別視しない、というのはそういうことでもあると思います。