Zootopia鑑賞感想、ディズニーとバディ物

なんと前回のエントリから実に2ヶ月以上も間が空いていた模様。その間東京レインボープライドに足を運んだりしていたのですが、とりあえず今日はズートピアの話をさせてください。

既に各所で話題沸騰の映画なので私が感想文を書くまでも無いと思うのですが、「最近のディズニーは本当にAセクに優しいなあ」と思わせてくれる映画でした。ちなみに今日までで4回観に行きました。

(※相変わらずネタバレには特に配慮していないので、未鑑賞の方は気をつけてくださいね!)

「ステロタイプ」と闘う力

舞台は草食動物と肉食動物が手を取り合って暮らす街、ズートピア。若い雌のうさぎ、ジュディは警官になることを夢見て、両親の反対を押し切り警察学校へ入ります。周囲は屈強な大型動物ばかり。小動物のうさぎに警察官なんて無理……という周囲の偏見を跳ね返し、ジュディは見事主席で警察学校を卒業。今までのディズニーならお話はここで終わりだったのですが、今回の話はハッピーエンドのその後です。

駐車違反の切符係の仕事しか与えられず焦るジュディと48時間の期限付きでタッグを組むことになったのはきつねの詐欺師、ニック。どうやら話を観ている限り、きつねは「ずる賢い」「裏切り者」というイメージから現代社会に於いても差別されている傾向にあるようです。

ニックもかつて差別を受けいじめられた経験から、「弱った姿は誰にも見せない」「周囲が『きつねはずる賢い』と決めつけるのなら、自分もそういう奴でいよう」という信条を持っています。

社会が自分を決めつけるのならそれに抗っても無駄だ、と思っているわけです。

それに対してジュディは、周囲からの偏見にどこまでも抗います。「君って思ってたよりすごくカワイイね!」というクロウハウザーに対しても「同じうさぎ同士なら『カワイイ』も有りだけど、他の動物に言われるとちょっと……」とハッキリ告げます。(これに対しクロウハウザーは、「君のことを決め付けてごめん」と答えます。この際英語版ではstereotyping-ステロタイピング、という言葉が使われています)

異なる形ではあれどそれぞれに社会から偏見を持たれている二人(二匹)ですが、それに対する対応は正反対なわけです。

無意識下の「ステロタイピング」

ところが、ジュディもまたきつねに対して偏見を抱いています。彼女の場合、幼少期に意地悪なきつねギデオンに暴力を振るわれたトラウマがあるため少々話が複雑なのですが、「きつねに時代遅れの差別をするなんて」と憤っていた彼女は事件解決の記者会見をきっかけに、自らの中にもまた差別意識があったことを再認識させられます。

ジュディにしっかり感情移入させた後にこの展開を持ってくるあたりが本当に見事です。「そうだそうだ差別はいかん、人を見た目で決めつけるな、と言ってるあなたもどこかで人に偏見を抱いているかも」という強烈なメッセージに冷水を浴びせられたような気持ちになりました。

幼少期にジュディをいじめていたギデオン自身からの謝罪、そしてジュディ自身の言葉でのニックへの謝罪が入るのも素晴らしいと思います。

終着点としての「よきパートナー」

さて、紆余曲折あったものの二人は無事仲直り、ニックは晴れてきつね初の警察官となり(偏見を跳ね返す方向へシフトチェンジし)、二人は正真正銘のバディとなります。「おまえ、俺のこと大好きだろ」というニックに対して何の屈託もなく「ええ」と答えるジュディ。今後の彼らの関係性は鑑賞者の想像に任せる形で物語は幕を閉じます。

勿論彼らがカップルとなる未来もアリだと思います。ズートピアの夫婦は皆同じ動物同士。異なる種族の彼らが恋愛関係になった際の周囲の反応は想像にかたくありませんし、二人ならそんな偏見も軽々と跳ね除けてくれそう……と思わせてくれるパワーのあるエンドでした。

けれどこのラストは、たとえどんな形であっても「よきパートナー」が得られればそれで充分お互い幸せなのではないか、という問いかけでもあるように思えました。

自らの言動がニックを、そして沢山の肉食動物たちを傷つけたことを涙ながらに謝るジュディと、彼女を許したニック。彼らの和解シーンも、かつての映画ならキスシーンのひとつでも入ったかもしれません。けれどぎゅっと抱きしめあう二人は既に、互いに最上級の愛情表現をしているようにもとれます。

『アナと雪の女王』や『マレフィセント』で恋愛以外の最上級の愛の形を示してくれたディズニーですが、今回もまたそうした形で終えてくれたことは、個人的にはGJ以外の何物でもありませんでした。

エルサに彼女を! 論争について

少し話が逸れますが、『アナと雪の女王』の続編をめぐって、海外で「エルサに彼女を作って!」という声が高まっています。それを巡って様々な論争もあるようなのですが、ここでは深くは触れません。

ただ、ハッピーエンドは必ずしも「誰かと恋愛的な意味で結ばれること」ではないのだということを、「お姫様と王子様のハッピーエンド」の第一人者のディズニーが発信し続けてくれることには大きな意味があるのではないかなと思っています。勿論、素敵なお姫様と恋に落ちるエルサをスクリーンで観ることができたら幸せですけれど。

長々と書きましたが、ここで書いたこと以外にも大小様々なネタやメッセージが込められた素敵な作品なので、皆さん是非1回と言わず2回でも3回でも観に行ってみてくださいね。

ちなみに私は4回とも字幕で観たので、今度は吹き替え版を観に行きたいです。吹き替え版はニュースキャスターの動物が国や地域ごとに変わっているらしいですよ。